最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)3343号 決定 1954年4月01日
本籍
広島県安佐郡小河内村字堂原河内三四二九番地
住居
同県同郡祗園町字南下安 武田甫喜方
工員
玉田哲荘
大正一三年七月三一日生
右に対する重過失傷害被告事件について昭和二八年六月一五日広島高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人今西貞夫の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、原判決は被告人が無免許で自動三輪車を運転したこと、飲酒酩酊の上でこれを運転したこと、人の雑沓する場所に同車を乗入れたこと(道路交通取締法一七条一項二項二、三、五号参照)及び前方注視義務を怠つたことをもつて、重過失としていることが判文上明らかであるから、論旨は前提において採用し難い。その余の上告趣意は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔)